Artesano de Circulos Concentricos | |||||
1989年6月に北京で起きた天安門事件。学生や労働者ら多数が人民解放軍によって虐殺された民主化運動。天安門事件は未だタブー視されていて触れてはいけない所らしいです。そして敢えてその時代を背景に男女の激しい恋愛を赤裸々に痛々しいほどに描いたこの映画。 それ故に中国では上映禁止となり、監督も5年間活動禁止を余儀なくされたというセンセーショナルな作品。 北朝鮮国境の町から北京の大学に入学したヒロインのユー・ホン(ハオ・レイ)が、親友に紹介された秀才のチョウ・ウェイ(グオ・シャオドン)と運命の出会いをし、恋に落ちる。二人は政治より恋愛に夢中になる。とにかく激しい。凄く印象的だったのはユー・ホンの目がいつも悲しげで苦痛に満ちているということ。愛を得ても・・・ 泥沼に落ちるように破滅へと向かう恋。自分ではどうにも止めようがない一途でひたむきな相手への思いは、混沌とした未来の見えない時代、抑圧された毎日から自由を求めるあの時代のなんともいえない不思議な空気感(高ぶり)と共生している。愛し合う瞬間だけが真実だったのかもしれませんねぇ。 凄く印象的だったのは、ベッドに横たわり、幸せな時間を過ごす二人。 ユー・ホンは彼に『別れましょう』という、どうしてと聞くその答えが、離れられなくなるのが怖いからと答える。わかる気がした。 そして天安門事件をきっかけにそれぞれの道を歩み始める。お互いの心の中に愛をくすぶらせながらも。 とにかく、切ない。どんな物にも底はあるけれど、果たして愛の深さに底はあるのかしら。 こんな風に激しく愛し合う二人、どうして傷つけあうように愛し合わなくちゃいけないのか・・・・ ユー・ホンの激しい気性ゆえにか、それだけじゃないだろうなぁ。 さてこの映画、性描写でも物議を醸したのですが、どうでしょうか。さほど問題視されるほどでもない気がします。ただ中国ですからねぇ。 これが上映、活動禁止となったのなら、ラスト・コーションはどうなってしまうんだ。あれはもっと凄い。結局は天安門というところに引っかかったのだと思う。 途中、天安門事件のその日、慌しく大学の寮から街へと飛び出したあと、軍隊に蹴散らされ敗北感を背中に背負って帰路に就く学生を、手持ちカメラでとらえた手振ればりばりの映像からはその時代に生きた彼らの臭いみたいなものを感じる。 天安門事件、光州事件、そして世界の様々な国で起きている民主化運動。一種独特のオーラを放ちますね。 日本では安保闘争やちょっと違うけど成田闘争とか・・・あんな感じだろう。 そういえば作家・小池真理子女史の作品に無伴奏という、学生運動真っ只中に生きる高校生から大学生の恋愛を描いた面白い本がありました。かなり好きです。
by gota-de-fericidad
| 2008-08-10 22:47
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